通勤や配達で毎日アドレス110を使っていると、走行距離がどんどん伸び、気づけば10,000キロオーバー。
そんな中
「ベルトが気になる…切れないか不安…」
ベルトの劣化を気にしながら、バイクに乗っていても、なんだか落ち着かないですよね。
「自分でVベルト交換をしてみたいけど、失敗しないか不安…」
私はUber Eatsの配達で毎日バイク稼働しており1日の走行距離は100km以上。
Vベルト交換のペースは約半年に1度
これまで知人の原付きスクーターも含めて何度もVベルト交換を行なってきましたが、やはりVベルトの定期交換は必須だなと実感しています。
Vベルトは、スクーターの動力を後輪に伝える大切なパーツ。切れるときは突然。切れると走行不能に。
この記事では、アドレス110のVベルト交換をはじめて行う人向けに、注意ポイントを含め、必要な工具・部品から実際の交換手順までを丁寧に解説しています。
大切なバイクに安心して乗るために、ぜひ最後までごらんください。
アドレス110のVベルト交換時期、走行距離は?

私は、アドレス110のVベルトは走行20,000km毎を目安におこないます。
20,000kmの交換時に古いVベルトのチェックをしますが、特に大きく劣化している様子はなく、ベルトの摩耗も驚くほどではありません。まだ使用に耐えうる状態に見えます。
ですが、走行中にベルトが切れてしまうと、一大事。早めの交換が得策と思っています。
急発進、急加速が日常的になっている方は、もっと早めの点検を。
私の場合、アドレス110の走行距離20,000kmになると「リアタイヤ交換」のタイミングと重なります。
20,000kmでリアタイヤ交換がまだな方は、交換時期のはずなので要チェック。
アドレス110のベルト交換サイクルは20,000kmが目安。
急発進、急加速を多用する方は、早めに点検。
Vベルト交換時にあわせてやりたい駆動系メンテナンス

Vベルトを交換する際は、駆動系全体の点検や清掃も行います。
ケースを開けて、ベルトを外す際に、普段は見えないプーリーやクラッチまわりまでアクセスできるので、このタイミングでしっかりとメンテナンス。
ケース内部に溜まったベルト粉をエアブローで吹き飛ばし、パーツクリーナーで油汚れを落とします。
ケース内にオイルにじみがないか確認し、プーリーやクラッチシューの摩耗具合もチェック。
こうした点検整備を行うことで、Vベルト交換の効果を最大限に引き出し、スクーターの加速や燃費を良い状態にキープすることができるのです。
- 駆動系ケース内の清掃
- オイルシール確認
- クラッチ、プーリーの摩耗具合
1. 駆動系ケース内の清掃
ケース内部には、古いVベルトが削れて発生したベルト粉が大量に溜まっているはず。
放置すると、プーリーの動きを妨げたり、加速不良の原因になります。
エアブローで粉を飛ばし、パーツクリーナーで油汚れを落としておくことで、駆動系の動きを良好状態にキープ。
■バイク整備にエアーコンプレッサーは必需品。
■私がいつも買っているAZのパーツクリーナー。コスパ!
2. オイルシールの確認
クランクシャフトやシャフトまわりに付いているオイルシールが劣化していると、オイルがにじんでベルトやプーリーに付着し、滑り等、駆動系不調の原因になります。
オイルのにじみ・漏れがないかをしっかりチェックし、異常があれば、要交換。
3. クラッチ・プーリーの摩耗具合
クラッチシューの減りやプーリーフェイスの段付き摩耗は、発進時のジャダー(ガタつき)や加速不良を引き起こします。
Vベルト交換のタイミングで同時に点検し、整備、交換しておくことで、時間ロスをなくすことができます。
これらの点検をVベルト交換と同時に行うことで、スクーター本来の力をしっかり発揮できるようになります。
特に毎日乗る通勤・配達ライダーは、異変に気づきにくいほど少しずつ劣化が進むため、このタイミングで駆動系を一度リフレッシュしておくと安心。
アドレス110のVベルト交換方法!ポイントも合わせて解説!

ここからは、実際のVベルト交換作業の流れを具体的に解説していきます。
まず最初に、Vベルト交換の全体の流れをざっくり把握できるように、手順をリストで紹介します。
- 駆動系ケースを外す(8mmボルト)
- プーリーナット・クラッチナットを緩めて取り外す(17mm)
- 各部の清掃を行う(ベルト粉除去・脱脂・乾燥)
- 新しいVベルト・ローラー・スライドピースを交換
- 駆動系ケースを取り付ける(最終確認)
上記の手順を1つずつ詳しく解説していきます。
1️⃣駆動系ケースを外す(8mmボルト)

アドレス110の駆動系カバーは、長さの違う8mmボルトで固定されています。
- 赤の丸:標準の短いボルト(本数が最も多い)
- オレンジの丸:エアークリーナーボックスを固定している少し長いボルト
- 緑の丸:さらに長いボルト
- 黄色の丸:最も長いボルト(ケース中央。キックペダルを下げてボルトを取り外す)
- 白矢印:ダクトを外した奥にある隠れボルト(見落とし注意)
✔ ボルトを外すときの注意点&ポイント
- ダクトの奥に1本隠れているので必ず外す(白矢印部分)
- ボルトの長さは4種類。ケース取付時には画像を参考に。
- 対角線状に均等に緩めることでケースの歪みを防げる
- ケースが固着している場合はプラスチックハンマー等で軽く叩くと外れやすい(マイナスドライバーを差し込むと破損リスクがあるのでNG)
- はじめてのケース取り外しでは、ガスケットが破れやすいので新しいものと交換。
ケースを外すと、プーリー・クラッチ・Vベルトが見える状態に。次のステップでプーリーナット、クラッチナットを緩めていきます。
2️⃣プーリー・クラッチ、Vベルトを取り外す
プーリーナットとクラッチナットは 17mm のソケットを使用。
Vベルト交換の中でも、少しばかり力が必要な工程なので、ケガをしないようグローブを着けて、安全に作業を進めましょう。
ナットを緩めたら、プーリー側一式、クラッチ側一式をVベルトと一緒に、手前に引き抜き取り外します。
取り付け時のことを想定し部品の順番、向きがわかるように保管。

✔ ナットを外すときのポイント
- プーリーホルダーでしっかり固定する
プーリーは回転するため、ホルダーで確実に固定してから緩めます。ホ - インパクトレンチがある場合は非常に便利
エアーor電動インパクトがあると、この工程が一瞬で終わります。ただし、締め付けは必ずトルクレンチを使用。
3️⃣各部の清掃を行う

プーリーやクラッチを外したタイミングで、ケース内部のベルト粉・細かいホコリ・油汚れをしっかり清掃しておきましょう。
丁寧に正しく清掃をすることで、新しいVベルトの性能を最大限に発揮。
- エアブローでケース内のベルト粉を飛ばす
- パーツクリーナーでプーリー・クラッチ周辺を脱脂
- ウェスで汚れを拭き取り、乾燥させる

ケースに張り付いたガスケットをこのタイミングでスクレイパー等を使用し丁寧に除去。
この際にケース合わせ面を大きく傷つけないように注意しながら作業を行ってください。
ケースに固着している部分は、プラスチックハンマー、ドライバーのグリップ等で少し打撃を与えると取りやすくなります。
4️⃣新しいVベルトの取り付け。
各部の清掃がおわったら、 プーリーに新しいウェイトローラー・スライドピース を組み込み、Vベルトの取り付け作業に入ります。
ウェイトローラー・スライドピースはVベルトとともに同時交換が基本。一緒に新品に交換することで変速性能、加速性能の回復が望めます。
✔ 1. ウェイトローラーの交換
プーリーの内側にあるウェイトローラーは、摩耗すると丸ではなく“角”ができて変形します。これが加速のもたつきや異音の原因になることも。
- 取り付け時にはローラーの向きを確認。
- グリスは基本 薄く極少量だけ(塗りすぎはNG)
ローラーは軽量化/純正重量などカスタム要素があります。私は少しだけ純正より軽いものをチョイス。
✔ 2. スライドピースを交換する
スライドピースとは、ランププレートに取り付けてある小さな3つの樹脂製の部品。
摩耗は変速性能に影響を及ぼすだけでなく、破損の原因にもなるので、Vベルトと同時に交換しておくのがベター。
✔ 3. 新しいVベルトを取り付ける

Vベルトには 進行方向(矢印)が印字されているので、向きに注意。
向かって右クラッチ側から組んでいく情報が多いですが、プーリー側から組んだほうが失敗のリスクが少なく、はじめての方におすすめ。
プーリーを組む前に、スターティングピニオンギアの取り付けを忘れずに。
プーリー側のナットを規定トルク70Nmで締め付けたら、Vベルトを両手でクラッチを両手で握り中心部へ落とし込みシャフトに挿入。
■締め付けトルクは
プーリーナット:70Nm
クラッチナット:60Nm
ナットを締め付けるときには、プーリー、クラッチが回転しないようにプーリーホルダーで固定。
プーリー裏にまわるVベルトが張った状態、中心部クランクシャフトに近い状態だと、プーリーボス等が奥までカチッとしっかり入りません。
そのままボルトを締めてしまい走行するとクランクシャフトにランププレートが焼付き、取り外しが困難となります。
プーリー裏側のVベルトが中心のクランクシャフトにこないように、余裕をもたせるのが作業のポイント。
- プーリー側から作業を完成させる
- ベルトには向きがあるので確認
- クラッチ側のワッシャーには向きがある。凸がナット側
- 締め付けトルクはプーリーナット70Nm。クラッチナット60Nm
ステップ6:駆動系ケースを取り付ける

最後に、駆動系ケースを取り外しと逆手順で取り付け。
ガスケット、2つのノックピンも忘れずに。
ボルトは対角線上に均等に締める(10Nm)ことで、ケースの歪みやボルト折れを防げます。
エンジン始動で、異音など問題がなければ、Vベルト交換は終了。
- ボルトの長さは4種類。間違わないように
- ケースの各ボルト8mmの締め付けトルクは10Nm
- ボルトは対角線上に締めていく
アドレス110のVベルト交換に必要なパーツと工具

この章では、アドレス110のVベルト交換に必要な工具と部品を紹介します。
工具を揃えるのにある程度の投資が必要となりますが。一度揃えてしまえば半永久的に使用できるものがほとんど。
- Vベルト、ウェイトローラー、スライドピース
- ガスケット
- プーリーホルダー
- ソケットレンチセット
- トルクレンチ
- パーツクリーナー、ウェス、グリス
- エアーコンプレッサー
必要なパーツ
Vベルト交換に必要になるパーツ類
1️⃣Vベルト・ウェイトローラー・スライドピース(交換必須パーツ)
Vベルト交換を行う際は、Vベルト本体だけでなく、ウェイトローラーとスライドピースもあわせて交換するのが基本です。これらは同じタイミングで劣化が進むパーツであり、セットで交換することで駆動系の性能を最大限に回復させることができます。
- Vベルト
アドレス110の駆動力を後輪へ伝える重要パーツ。新品に交換することで、発進のもたつきや滑りが改善されます。 - ウェイトローラー
エンジン回転に合わせて変速を行うためのパーツ。摩耗すると変速タイミングが乱れ、加速力の低下や異音の原因になります。ベルトと同時交換がもっとも効果的です。 - スライドピース
プーリーの動きをスムーズにするための部品。角が欠けていたり摩耗していると、変速がギクシャクしてしまいます。
■私がいつも購入している商品を載せておきます。
2️⃣ガスケット
ガスケットは駆動系ケース内部を密閉し、砂や水分の侵入を防ぐ大切なパーツ。
はじめてケースを開ける車両では、ガスケットがケース側に強く張り付いていることが多く、剥がす際にちぎれてしまうため、ガスケットの交換は、ほぼ必須と考えてください。
ケース側にガスケットの残りが付着していると密閉性が低下します。スクレーパーなどを使って丁寧に清掃し、取り付け面を平滑に整えることが重要です。
ガスケットは安価な部品なので、このタイミングで新しいものに交換しておくと安心です。
必要な工具等
アドレス110のVベルト交換に必要になる工具類。ほぼ必需品、この機会に揃えておいたほうがいいものを私が使っているものを中心にご紹介しておきます。
3️⃣プーリーホルダー
プーリーナット、クラッチナットを緩めたり締め付けたりする際使用するのがプーリーホルダー
私は、プーリー用とクラッチ用で2種類のホルダーを使用します。
インパクトレンチがあればホルダーがなくても作業はできるのですが、締め付けトルク管理ができないのでプーリーホルダーは必須。
上の2つが1つにまとまったツールがデイトナから販売されていました。使用したことがないのでハッキリとしたことは言えませんが、良さげですね。
4️⃣ソケットレンチセット
アドレス110(ce47a)の場合、
- 8mm:駆動系ケースのボルト用
- 17mm:プーリー・クラッチナット用 が必須サイズになります。
これから購入するのであれば、工具セットを購入しておくほうが、収納もスッキリして見栄えもよいのでオススメ。
私は、バラで購入してしまい後悔。
工具セットを購入しておけば、これからバイク整備のあらゆるシーンで役立ちます。
5️⃣トルクレンチ
Vベルト交換で最も重要なポイント、それはナットの締め付けトルクを正確に守ること。
そのために必要なのがトルクレンチです。締め付けが強すぎても、弱すぎてもトラブルの原因になるため、必ず持っておくべき工具。
アドレス110のVベルト交換でトルクレンチを使用する箇所とトルク値は以下のとおり。
- プーリーナット:70Nm
- クラッチナット:60Nm
- ケースボルト :10Nm
締め付けトルクが不足していると走行中にプーリーナットが緩み、外れてしまう危険があります。
最悪の場合、プーリーが暴れてクランクシャフトを損傷し、エンジン本体が致命的なダメージにつながることも。
エンジンがダメになってしまえば、修理費も時間も大きな負担になります。
そんな重大トラブルを未然に防ぐためにも、正確なトルク管理ができるトルクレンチは必須の工具。
価格も手頃なものが多いので、このタイミングで揃えてください。
■大きめトルク値計測に。30Nm-180Nm。プーリー、クラッチナットの締め付けトルク計測に。タイヤ交換時にもこのトルクレンチが必要になります。↓↓↓↓↓
■大きめトルク値計測に。10Nm-40Nm。駆動系ケースのボルト↓↓↓↓↓
6️⃣パーツクリーナー、ウェス、グリス
Vベルト交換では、ベルト粉・油汚れ・古いグリスの清掃を行います。パーツの清掃はバイクメンテナンスの基本となるので、清掃に使用するものは常に準備しておきます。
■パーツクリーナー
プーリー内部・ケース内の油汚れ、古いグリスを落とすために必須。
■ウェス(布)
清掃の基本。パーツクリーナーで溶かした汚れを拭き取るほか、手の汚れや細かい粉も処理できます。使い捨てロールタイプが便利。
■グリス
一部の摺動部に薄く塗ることで動きをスムーズにし、摩耗を防ぎます。塗りすぎは逆効果なので“薄く均一に”がポイント。
7️⃣エアーコンプレッサー
バイクメンテナンスにおいて必須の工具がエアーコンプレッサー。
作業効率が大きく向上するだけでなく、清掃のクオリティも段違いになります。
- ケース内のベルト粉をエアブローで一気に除去できるため、清掃が圧倒的にラク。
- エアーツール(インパクト、エアタイヤゲージ、サンダーなど)が使えるようになる
- 今後のメンテ(細部のホコリ飛ばし、タイヤ交換など)でも活躍し、工具としての優先度は高め。
小型モデルでもDIYレベルであれば必要十分。コンプレッサーがあれば、毎回の整備、清掃が短時間で終わり、結果的に大幅な時間節約につながる工具。
原付きスクーターのVベルトは消耗品!定期交換必須!

これまで、アドレス110のベルト交換について、私の経験をもとにお伝えしてきました。
この章では、一般的な原付きスクーターのVベルトがどんな役割を果たしているのか、そしてなぜ定期交換が欠かせないのかをお伝えします。
Vベルトはスクーターのエンジンの動力を後輪へ伝える重要パーツ。これが劣化すると走行性能に大きく影響します。
Vベルトが劣化すると起こる症状(加速のもたつき・振動・異音)
Vベルトが摩耗してくると、発進時や加速時にエンジン回転だけが上がって前に進まないような感覚が出てきます。
これはベルトの滑りが起きているサイン。また、振動やカタカタ音が増えてきた場合も要注意。
劣化したベルトは弾力性が失われ、プーリーとの噛み合わせが悪くなることで異音やショックが発生します。
放置すると切断につながり、走行不能になる危険もあります。
Vベルトは早めに!症状が出る前の交換が大切!
Vベルトは、時間とともに徐々に劣化。
目視での劣化判断が難しい場合もあり、パッと見まだ使えそうでも、内部ではひび割れや繊維の摩耗が進んでいます。
スクーターの場合、ベルトが切れるとその場で走行不能に。
走行不能になってしまうと、レッカーなどバイクの移動だけでも、無駄な時間とお金を失うことに。
そんなトラブルを避けるために、Vベルトは、早めの交換が何より大切。
特に私のように、原付きバイクを配達の仕事などで毎日使用している方は、Vベルト切れのトラブルは収入に直結。
仕事だけでなく、通勤で使用される方も、Vベルト切れでバイクが走行不能になるトラブルは絶対に避けたいですよね。
「まだ使えそうだし、交換は先でいいかな..」
この意識がバイクトラブルの要因。
Vベルトに限らず、バイクに乗っている以上、消耗品の交換は必ず必要です。
しつこいようですが、早めの定期交換を意識してください。
「バイクがふつうに走ってるうちに整備」
こういう意識がバイクトラブルを未然に防ぐポイント。
あなたの安全と安心のためにも、バイクに症状が出る前に計画的な交換を心がけてください。
まとめ|定期的なVベルト交換で、安心と安全を手に入れよう

アドレス110のVベルト交換は
「安心して走り続けるための投資」
特に通勤や配達で毎日走るライダーにとって、突然のベルト切れはその場で完全に走行不能となり、時間を無駄にするだけでなく、仕事への影響も多大。
■早めの定期交換を行っていれば
- 走行中の急なトラブルを防げる
- 加速・燃費が安定して元の性能を取り戻す
- 駆動系全体の寿命を延ばせる
- 安心して毎日の仕事に集中できる
といったメリットばかり。
Vベルト交換は、手順をしっかり理解し、ポイントを押さえれば、初心者でも十分に作業可能。
しかしながら、作業は自己責任。自身のない方はプロに任せましょう。
あなたのアドレス110(ce47a)が、いつまでも元気に走れるように心から願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
